行動観察の方法
従来の調査手法とはここが違う
行動観察を形態で分類すると、参加観察法と非参加観察法に分けられます。
参加観察法には、観察者が観察対象者に関与して経験を共にしながら観察する交流的観察と、観察者から被観察者への働きを最小にして観察に徹する非交流的観察があります。
交流的観察では、対象が何か特徴的な行動をしたとき、すぐに質問ができるうえ、交流によって信頼を得ていれば、対象者の本音を聞くことができます。しかし、その都度質問したり、行動に関与したりすることによって、本来の対象の自然な行動が阻害されてしまう場合があります。
生活者ニーズを抽出するうえでは、観察は非交流で行い、観察後にまとめてヒアリングすることが望ましいと考えられています。
一方、非参加観察法では、マジックミラー(直接観察)やビデオ(間接観察)を使用して観察します。観察対象者に観察されていることを意識させない自然な行動を観察することができますが、その場で特徴的な行動の理由を質問することはできません。また、マジックミラーやビデオなどの位置によって観察の方向や範囲がきまってしまうため、抽出すべき行動を見逃してしまう恐れがあります。とくに、現場に行くことなしに、事後にビデオのみで分析を実施すると、様々な制約(背景情報が判らない、など)が生じることも少なくありません。
行動観察における科学的視点
行動観察という調査手法は、もともと学問の世界からマーケティングの世界に導入された手法です。そのため、ただ現場を見て、気づくだけの観察ではなく、様々な科学的視点をもって観察と分析をおこなうことが最大の特長であり、高い信頼性や説得力を生み出す要因となっています。
サービスサイエンスにおける行動観察は、主に、人間工学、エスノグラフィー、社会心理学、環境心理学、しぐさ分析、表情分析の6つの学問領域を活用して観察・分析をおこないます。
人間工学
人間工学は、人間の特性や制約を知り、それを設計やデザインに活用する学問です。人間にはさまざまな制約があり、人間の身体的な特徴(スケール、形状、力、反応時間など)や、認知的な特徴(知覚、記憶など)についての知見を活用することで、人の行動を解釈することができます。
エスノグラフィー
日本語で「民族誌」という意味で、もともとは異なる文化の人たちと長期間一緒に過ごし、行動を観察とインタビューによって行動様式や風習、文化を知ることを目的とした学問です。行動内容からその背景やその人の価値観、さらにはそれぞれの集団(例:家族、会社)独特の文化を知ることが重要となります。
表情分析
人の表情やその変化から、そのときの感情を知る手法です。表情と感情は密接につながっており、その関係は万国共通であることが知られています。
環境心理学
環境心理学は、物理環境(光環境、音環境、熱環境、混雑具合など)が人間行動にどのような影響を与えるかなどを知るための学問です。
しぐさ分析
人間が無意識のうちに行うしぐさから、どのような気持ちが隠されているのか、背後にはどのような感情があるのかを分析する手法です。
社会心理学
社会心理学は、人と人とのインタラクションにおいて、人間は他者や社会からどう影響を受け、人間はどう意思決定してどう行動する傾向があるか、を知るための学問です。










