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研究所設立に寄せて

大阪ガス行動観察研究所所長 松波 晴人

 
松波 晴人

 「イノベーションをおこすために、お客さまの潜在ニーズをどうすれば発見できるだろう?」
 「サービスのノウハウをどう抽出して、どう共有すればいいのだろう?」
 「現場の潜在リスクはどうすれば把握できるだろう?」
 「生産性をどうすれば上げられるだろう?」

マーケットの成熟に伴い、製品やサービスに求められるレベルはより高まっているといえるでしょう。
「顧客志向」がさけばれている中、具体的にどうすれば顧客のニーズを把握し、製品やサービスの現場にイノベーションをおこすことができるのか?
そのひとつの答えが「行動観察」です。

お客さまの生活の場やサービスの様々な現場に入り込み、人々の行動を綿密に観察することで実態を正確に把握し、人間工学や心理学、エスノグラフィーなどの人間に関する知見を駆使してソリューションを提案する、これこそがイノベーションをおこすための「具体的な方法」だと我々は考えます。

大阪ガスと大阪ガスグループは、お客さまと大阪ガスの直接の接点(営業場面やイベント、機器使用場面)や、従業員の現場(オフィスや工事現場)など、企業のあらゆる場面をサービスととらえ、2001年よりサービス生産性の向上に向けた取り組みを開始し、様々な現場の行動観察と分析を通じてイノベーションを促進してきました。
サービスの生産性向上に科学的に取り組む「サービスサイエンス」が注目を集めていますが、サービスサイエンスという言葉が登場する前から、サービスサイエンスを実践してきた、といえるでしょう。
「イノベーションをおこす手法“行動観察”を広く普及し社会に貢献していきたい」という願いから、このたび2009年7月に大阪ガス 行動観察研究所を設立する運びとなりました。

大阪ガス行動観察研究所は、より高度な行動観察手法の開発、行動観察を実践する人材の育成、行動観察に関わる様々な人との交流という3つの取り組みを通じて、広く社会のマーケティングイノベーション、サービスイノベーションに貢献することを目的としております。当研究所の活動や成果は、Webサイトやセミナーなど様々なメディアを通して発信し、多くの企業、団体の共有資産となることを目指しています。また大学や企業内研究者とのネットワーク作りを積極的に進め、共にイノベーションを実現していきたいと考えています。

これらの目的を達成するために皆様の知恵と力をお借りしながら、ともに歩んでいきたいと考えています。行動観察に関わる、開発・育成・交流の拠点として設立した「大阪ガス行動観察研究所」へのご理解とご協力、そして多くの皆様のご参画をお願い申し上げます。

2009年7月7日

所属
大阪ガス(株) 行動観察研究所 所長
(株)エルネット 技術顧問

専門分野
行動観察(人間工学、環境心理学、エスノグラフィー)
これまでの行動観察の対象は、主婦の潜在ニーズ探索、導管工事のヒューマンエラー防止、イベントでの人の動き、接客業務のノウハウ、暖炉前での会話行動、店舗における購買行動、など。

経歴
1966年 大阪生まれ
1992年 大阪ガス(株)入社。基盤研究所に配属。以後2006年まで研究所所属。生理心理学、人間工学関係の研究活動に従事
2002年 コーネル大学大学院にて修士号(Master of Science)取得
2005年 (株)エルネットと契約し、行動観察ビジネスを開始。
http://www.lnet.co.jp/research/idea/kansatu.html
2006年 和歌山大学より博士号(工学)取得。博士論文のタイトルは「家庭用機器開発評価プロセスにおける行動観察手法に関する研究」
2007年 米国Giantant社の技術顧問就任
2008年 (株)エルネット技術顧問、財団法人社会経済生産性本部サービス産業生産性協議会「科学的・工学的アプローチ委員会」委員就任。編著「ヒット商品を生む 観察工学」(共立出版)を出版。
2009年 大阪ガス 行動観察研究所を設立し、所長に就任。
2010年 明治大学サービス創新研究所の副所長に就任。



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