環境心理学で考える
環境心理学で考える 第19回
2011年9月16日
判断について(3):階段とスロープ
日本大学文理学部教授 羽生 和紀
第4回(なぜエレベーターに乗ってしまうのか:階段の認知距離)で書いたが、人は階段を使用することに負担感・不快感を感じているため、結果として非常に長いと感じている可能性があることを指摘した。これも、情動・感情が主導する判断の一例である。
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ところで、上の写真は階段が併設されている駅の連絡通路である。ここで通行者を観察していると、全体の8割以上の人が階段ではなく、スロープを使用していることがわかる。階段もスロープの同じ高さを昇るのであるから、身体的な労力に大差はなさそうであるが、おそらく人間の「快―不快」を判断する情動システムは、スロープと階段のもたらす経験の間にわずかな違いを見出し、スロープのほうが階段よりも「楽」、あるいは不快さが少ないと判断し、スロープのほうを選択させていると思われる。また、こうした判断は、無意識のうちに行われ、通行者は自分がスロープを選択したことすら気が付いていないことが多いだろう。
こうした現象は、改めて人の日常行動のほとんどは、無意識的な、あるいはプログラムされた判断によって行われることを示し、同時に、本当に小さな環境デザインの違いが、決定的な行動の変化をもたらすことを教えてくれる。











