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研究員コラム

研究員コラム 第10回

2011年1月 7日

kamata1.JPGのサムネール画像こんにちは。研究員の鎌田です。


先日実家に帰省してきたのですが、その時に驚いたことがありました。家から駅に向かう途中に地下道があるのですが、そこに、これまでにはなかった柵ができていたのです。3つ1セットで8箇所に設置されていました。


何事!?と思って近づいてみると、「自転車降車」の張り紙が。なるほど。思い返してみると、確かにこの地下道は昔から自転車の転倒事故や衝突事故の多い場所なのです。

規則上、自転車で通るときには、押して通過しないといけないことになっているのですが、かつて私が住んでいた頃、実際に押して通過していた人は少数でした。学生時代には毎日ここを自転車で通過していた私も、ついついルールを破ってしまっていた一人。


kamata2.JPGのサムネール画像年を追う毎に増えていった張り紙に気づきつつも、安全より時間短縮を優先してしまい、ほとんど自転車に乗ったまま通過してしまっていました。


そんなことを繰り返していると1度や2度はヒヤッとしたこともありました。かつてはタイル貼りでしたので、水で濡れたタイルに滑って転倒してしまったり、曲がり角で他の自転車とぶつかりそうになったり。幸い大きな怪我をしたことはありませんが、危ない目にあったのは事実。

そのすぐ後は自転車を降りて通過するようになったり、自転車に乗ること自体を止めてしまったりするのですが、それでも数日経つ頃にはそんなことなど忘れてしまって、また自転車に乗ったまま通過してるんですよね。


きっと私のような人が他にもたくさんいたので、今度は柵を作ることにしたのだと思われます。では、その効果はいかほどでしょうか?


平日の午前10時台に自転車で通る人の数をカウントしてみました。
15分間のうち、自転車でこの地下道を通った人は19人。そのうち自転車を降りて通過した人は11人(男性2人、女性9人/推定30代~60代)で、乗ったまま通過した人は8人(男性6人、女性2人/推定20代~30代)でした。半数以上は降りて押していたということで、効果はあるようですが、ただ気になるのがその内訳。女性は11人中9人ということで、80%以上の人が降りていたわけですが、男性は8人中6人と75%が降りずに通過していました。また、乗って通過していた人は男女とも20代~30代でした。


地下道の構造上、自転車で通る人は坂道を一度下った後に上らなくてはいけないのですが、その間に2度曲がり角があります。そこで壁にぶつからずに通過するためにはスピードを落とさなくてはなりません。スピードを落として2つの曲がり角を曲がった後に坂道を上るには、結構体力、筋力が必要です。柵ができた今では更に柵を避けて通るコントロール力も必要になります。(実際に、乗ったまま通過していた人たちは、ブレーキをかけながらこまめにハンドルをきって通過していました。)そう考えると、体力が低めの女性や高齢者に対しては有効な柵ですが、体力のある男性や若者にはあまり効果がないものかもしれません。


経験上、最も混雑するのは学生の多い朝の通勤、通学の時間帯だと思われますので、その時間帯の事故を抑制する為には他の手段が必要かもしれません。


現状のように、身体的に「不可能だから降りて押す」のではなく、「自分と他者の安全の為に降りて押す」という意識をもってもらうことが必要ですね。


事故が多いと知ってはいても、人はなぜか自分には起こらないものと思ってしまいがちです。また、できるだけ楽をしたいという習性もありますので、降りる必要がなければ降りずにすませてしまいたいという意識が働きます。


利用者のみなさんが降りて通過してくれるようになれば一番いいとは思いますが、乗ったまま通過する人が事故を起こさない為にはどうすればいいかという視点で改善をすることも必要かもしれません。例えば、自転車と歩行者で通路を完全に分けてしまえば、ひとまず自転車と歩行者の接触事故は防げるものと思われます。


自分だけは大丈夫、と思っていてもみんなが同じことをしてしまうと思いの他大きな問題になってしまうこともあります。ほんの少しの心がけが多くの人の安全につながると考えれば、数分時間をかけてみてもいいとは思えませんか?また、なぜそれができないのか、その理由を深くつきつめれば自然とみんなが安全行動を取ってくれるための場所作りができると思われます。


kamata3.jpgのサムネール画像今となっては自転車でこの道を通過することがない私ですが、もう事故が起こらないことを祈りながら、歩いて柵を避けつつ大阪への帰路につくのでした。


大阪ガス行動観察研究所 研究員 鎌田 聡美


エルネット

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