研究員コラム
研究員コラム 第8回
2010年11月 5日
はじめまして。行動観察研究所 石原です。
行動観察調査に関わらせていただくようになり、はやいもので5年がたちました。ある時は早朝からハンディカメラを片手に一般のご家庭に潜入(振り返ると旦那さんがパンツ一枚で着替えの真っ最中!!!ということもありました)、ある時は朝8時頃集合~深夜2時まで店舗で観察(働くスタッフの方たちはシフト勤務のため、「最後までいるの?、大変やな~」と同情されたり・・・)、またある時はヘルメットや安全靴を履いて屋外の修理現場に行ったり・・・と、色々な現場にお邪魔させていただいてきています。
最近は、自分が現場を飛び回るより、複数の観察員をコントロールする役割が多いため、今日はここで自分が『鉄則』としている3点をご紹介させて頂きます。
鉄則その1。必ず現場に入る前に『事前研修』を実施する。
これは、観察員全員が同じ認識と意識をもって現場に臨むために行っています。
というのも、現場では、色々な事情や設計上、ビデオ映像記録はせずに、目視のみで観察するケースが多くあります。「見ればいいだけでしょ?」と思われそうですが、現場ではその瞬間瞬間に、同時に沢山のことが起こっています。当研究所の観察は、『一挙一動記録』ではなく、『気づきを記録』のこともあり、観察員が捉える角度が違っていると、貴重な情報を落としてしまう危険性があります。特に目視観察の場合には、取り返しがつかないことになってしまいます。
例えば、「駅構内をお客さまの利用しやすい空間にするための現状の問題点抽出」といったテーマがあったとします。
皆さんは何を見ることにしますか?
改札機まわりの人の動きを見る人、券売機付近を見る人、待ち合わせの様子を見る人、案内表示のあり方を見る人、等々・・色々なポイントが挙げられるのではないでしょうか。
そこで、まず最初に、"「利用しやすい」ってどういうこと?"というのを整理します。
この点については、クライアントさまと事前に打ち合わせを実施し、例えば、「安全性」「わかりやすさ」「スタッフのオペレーション」など、もう少し課題を具体化します。また、「特に今、クレーム発生率が高い場所」など、発生場所等もポイントを絞ります。その情報を元に、人の配置を考えた上で、例えば「安全性につながることってどんなこと?」等々、ひとつひとつを具体化した『観察ポイント』を設定し、共有化します。
とはいえ、実際に現場に入ると、様々な想定外のことが起こりますし、思いがけないところに問題が見られる場合もあります。ですので、『観察ポイントをその通りに見たらOK』ではなく、現場ではどんどん、ポイントの追加や修正をしていきます。 "それなら、現場で考えたらいいのでは?"と思われそうですが、ベースが統一されているからこそ混乱せず、全員が臨機応変に対応出来ていると感じています。
鉄則2つ目は、『自分たち自身がすべき配慮』です。
というのも、人はシングルチャンネルの生き物。「観察」に注力すると、普段なら出来ている筈の配慮もついつい抜け落ちてしまう可能性があります。観察の対象者さまへは、よく、「観察員のことは透明人間と思って、普段通り業務をして下さいね」と言ってはいるものの、おそらく全く気にならない方は少ないのではないでしょうか。
特に、自分自身、人から見られたり注目されることに苦痛を感じる方ですので、その想いが強いのかもしれません。一方、対象者さまに『どれだけリラックスし普段通りにしてもらえるか』というところが、実は調査成功のための大きな要素と思います。例えば、優秀な営業担当者を観察し、その場で見られたことをしっかりと収集したとしても、その場面自体が、「普段と違う方法」をとられていたとしたら・・・。
そのため、少しでも緊張を解き、不快感を与えず足を引っ張らずに、動いていただけるための配慮を伝えています。
鉄則その3.『観察員たちが安心して観察できる』ための調整。
観察対象者の方の負担もありますが、一方、観察員側にかかる負担もあります。観察現場は長時間の現場や立ちっぱなしの現場も多いですし、初対面の人について終日観察することは、観察員にとっても決して楽なものではありません。集中力を保つためにも、例えば、「こまめに休憩を取るように」といっても、なかなか取れずにいれば、具体的に休憩時間を指示してまわったり・・。個々に現場に入る場合は、予め、観察員が困りそうなことは予め、クライアントさまに許可をもらうようにもします。あとは、『現場では何があっても自分は動揺しない』という気持ちで現場に入ります。
こうして、実際に現場で観察を担当するメンバーに比べれば、私が出来ることは些細なことばかりですが、苦労かけた観察員たちから毎回、最後に「大変だったけど楽しかったです!」といってもらう言葉のひとつひとつや笑顔に励まされています。クライアントさまに評価いただくことはもちろん大きな喜びですが、それも、沢山の観察員たちの努力があってこそ。
皆さま、いつも、有難うございますm^^m。
大阪ガス行動観察研究所 研究員 石原 妙子
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