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行動観察研究所ブログ

2014年5月19日(月)

第46回 物語性について考える(1)

観察工学の概念と方法

山岡 俊樹 先生

 今年の四月から京都に移り、時間が空いたとき、東山地区を中心にいろいろ探索した。すると京都は政治に中心であったのと歴史があるので、いろいろなところで様々な物語を聞いた。自宅の近くにある六道珍皇寺や幽霊子育飴の物語を聞くと不思議に共感、感動を覚えた。もしも最近できたお寺や単なる飴では、このような共感、感動を得ることができないだろう。同様に製品やサービスでも物語の重要性が高まっている。その最たるものがブランドであろう。高級ファッションや高級腕時計は、それらの持つ歴史や意味性によりブランド化し、信頼性を獲得している。

 拙著「デザイン人間工学」(共立出版社,2014)でも述べたが、物語は過去の物語と新しく作る物語がある。過去の物語は、文字通り過去の話あるいは過去に経験したことである。ただ、経験しただけではなく、それが連続することにより物語となる。例えば、私がよく使う中級レベルのビジネスホテルで、チェックイン前なのでバックの一時保管を頼んだが、一社はチェックインする時間の前に私の部屋に運んでくれた。同じことを頼んだもう一社は額面通り保管だけしてくれた。前者のホテルに対し、大浴場、無料の夜食提供などのサービスにより、顧客を大切にするというコンセプト、物語性を感じるようになった。逆に歴史のない製品の場合、新しく物語を作り、顧客に共感,感動を提示するのがよい。例えば、以前、シャープの亀山工場製の液晶TVシリーズが大々的にPRされていたが、最新鋭の液晶工場製という物語を消費者に伝えることに成功した例であろう。それではどうやって新しい物語を作ればいいのであろうか?何らかの行動や操作などによる体験を通じて、「非日常性の感覚」「獲得の感覚(モノを得るとか)」「タスク後に得られる感覚」「利便性の感覚」「憧れの感覚(ブランドに対する等)」「五感から得る感覚」などの感覚を得るようにし、それが「喜び」「驚き」「興奮」などの感情とつながるようにすると良い。この良い感情とつながった体験が時間軸上で継続すると物語となる。

 今までは、製品の機能、デザイン、価格など、ある水準を満たせば、製品は売れた。しかし、我々の生活が豊かになり、モノがあふれると、このような要求事項を超えた意味性が必要になってくる。製品の機能、デザイン、価格などの要求事項は、マズローの欲求5段階説の低次の欲求であり、自己実現欲求を含む高次の欲求である意味性を満たさなければならない。この意味性とは製品に何らかの意味を与えるという視点で使っているが、物語性が大きなウエイトを占めている。

 今後、製品やサービスのデザイン、ビジネスにおいて、意味性や物語性は共感、感動を得る重要なポイントとなるだろう。

 
 

 

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