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研究所設立に寄せて

日本大学文理学部教授 
 羽生 和紀

『大阪ガス行動観察研究所への期待』

近年,実社会のさまざまなところからの心理学に対する期待の声を聞くことが多い。そうした実社会から心理学への期待は,主に心理学が蓄積してきた知識を生活者,消費者,利用者,従業員など様々な役割の人々の心理を理解するために利用したいということであろう。しかし,心理学がそうした声に十分に応えられるかというと,必ずしもそうとは言えない。これまでの心理学はこうした現実の社会に直面し,働きかけることが十分ではなかったため,蓄積されてきた知識や知見と実社会の現実との間にはギャップが存在することが多いのである。「大阪ガス行動観察研究所」の設立の話を聞いたとき,行動の観察という手段を用いて心理学と実社会のギャップを埋める存在になってくれるのではないかと思った。心理学の知識と科学的方法論を実社会に役立てるだけではなく,心理学にとっても,真の応用場面で知識と方法論を検証する場にもなるだろう。そうした両方の意味で大いに期待しているところである。

日本大学文理学部教授
専門:環境心理学
略歴:
1995年 オハイオ州立大学大学院都市計画学科環境行動学専攻
博士後期課程修了 Ph.D.
著作:
「環境心理学:人間と環境の調和のために」(サイエンス社)
「複雑現象を量る:紙リサイクル社会の調査」(朝倉書店)  など
訳書:
「環境心理学:原理と実践(上・下)」(北大路書房)
「犯罪心理学:行動科学のアプローチ」(北大路書房)  など

九州大学大学院人間環境学研究院教授 
 山口 裕幸

『研究所設立によせて』

 いかにすれば顧客に満足してもらえる高品質なサービスを提供できるのか。優れたサービスは、自社ブランドの魅力を高め、繰り返し自社の製品・サービスを選択するリピーターの獲得につながる。優れたサービスの提供は、これからの企業の命運を左右する課題といっても過言ではない。  経験や勘、思いつきに頼って解答を得る時代は過去のものになった。ターゲットとなる顧客の行動をより多く丁寧に観察して、的確に分析するところから、効果的なサービス戦略を導く科学的なアプローチが必須であることは論を俟たない。  「大阪ガス行動観察研究所」の設立は、大阪ガスがサービスサイエンスに本腰を入れて取り組むことの証しである。名門企業が一皮むけて、さらなる飛躍を期す中で、顧客満足度の高いサービスを追究し、新たな顧客の創出を目指すサービスサイエンスの基地として「大阪ガス行動観察研究所」のプレゼンスは貴重である。その活躍に大いに期待したい。

鹿児島県出身。
九州大学教育学部卒業後、アサヒビール株式会社に勤務。4年半の勤務を経て退職後、九州大学大学院教育学研究科に進学。博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員、岡山大学文学部講師・助教授をへて、九州大学大学院人間環境学研究院・教授となり現在に至る。
専門は、社会心理学、組織心理学、集団力学。メインの研究テーマは、チーム・マネジメント、組織コミュニケーション、組織安全マネジメント。著書に「チームワークの心理学」(サイエンス社)、「経営とワークライフに生かそう!産業・組織心理学」(有斐閣)など、多数。

エルネット

株式会社エルネットは「大阪ガス行動観察研究所」唯一の指定運営会社として、調査・分析を担当しております

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